コンフォーマルコーティングの剥がし方|除去方法と注意点を解説

公開日:2025/07/29 最終更新日:2025/09/04
剝がし方

電子基板のコーティング除去は、修理や改造を行う際に欠かせない作業です。しかし適切な方法を知らずに作業すると、基板や部品を損傷させる危険性があります。本記事では、基板を傷めることなく確実にコーティングを除去するために、ポッティング材の役割から、安全な除去方法、作業時の注意点まで詳しく解説します。

基板に使われる「ポッティング材」の役割

ポッティング材は、電子基板を様々な外部要因から保護するために使用される樹脂材料です。主にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが使われており、それぞれ異なる特性を持っています。

エポキシ樹脂は硬度が高く、機械的強度に優れているため、振動や衝撃から基板を守る用途に適しています。一方でウレタン樹脂は柔軟性があり、温度変化による膨張収縮に対応可能です。シリコーン樹脂は耐熱性と耐薬品性に優れ、過酷な環境下での使用に向いています。

これらのポッティング材は、基板全体または特定の部品を覆うように塗布され、硬化後は防水、防塵、絶縁などの機能を発揮します。産業機器や車載機器、屋外設置機器など、高い信頼性が求められる製品では必須の保護技術です。

また、ポッティング材は電気的な絶縁性能も提供し、高電圧回路における短絡防止にも貢献します。さらに、振動による部品の脱落防止や、基板パターンの保護、知的財産の保護(リバースエンジニアリング防止)といった副次的な効果も期待できます。

ただし、一度硬化したポッティング材は除去が困難であり、修理やメンテナンスの際には専門的な知識と技術が必要です。そのため、設計段階でメンテナンス性も考慮し、必要最小限の範囲にポッティングを施すことが重要です。

ポッティング材を適切に除去できなかったらどうなる?

ポッティング材の除去作業を誤ると、深刻な問題が発生する可能性があります。最も一般的なトラブルは、基板パターンの損傷です。過度な力を加えたり、不適切な工具を使用したりすると、銅箔パターンが剥離し、断線や短絡の原因となります。

とくに多層基板では、内層パターンへのダメージが表面から確認できないため、後になって不具合が発覚することもあります。また、除去時の熱による部品の破損も頻繁に起こる問題です。半導体部品は熱に弱く、過度な加熱により内部構造が破壊される恐れがあります。

ICやトランジスタ、電解コンデンサなどはとくに注意が必要で、データシートに記載された最大許容温度を超えないよう管理することが重要です

化学薬品を使用した除去方法では、薬品が基板や部品に与える影響も考慮しなければなりません。強力な溶剤は樹脂部品を溶かしたり、金属部分を腐食させたりする可能性があります。

さらに、除去作業中に発生する微細な樹脂片が基板上に残留すると、絶縁不良や接触不良の原因となります。これらの残留物は目視では確認困難な場合も多く、動作試験で初めて問題が発覚することもあります。不適切な除去作業による二次的な被害として、修理コストの増大も無視できません。

当初は簡単な部品交換で済むはずだった修理が、基板全体の交換になってしまうケースも少なくありません。このような事態を避けるためには、適切な工具の選択、作業手順の遵守、十分な経験と技術が不可欠です。

コンフォーマルコーティングを上手に剥がすコツ

コンフォーマルコーティングを安全かつ確実に除去するには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、使用されているポッティング材の種類を特定することが第一歩です。エポキシ樹脂には加熱法、シリコーン樹脂には機械的除去法、ウレタン樹脂には溶剤法というように、材質に応じた最適な方法を選択します。

加熱法を用いる場合は、150℃から200℃程度の温度で徐々に軟化させ、プラスチック製のヘラで少しずつ剥がしていきましょう。この際、局所的な加熱を避け、基板全体を均一に温めることが部品保護の観点から重要です。

ヒートガンを使用する際は、一定の距離を保ちながら円を描くように動かし、熱が一箇所に集中しないよう注意します。機械的除去では、超音波カッターや精密ニッパーを使用し、基板表面と平行に刃を動かしながら慎重に作業を進めましょう。

とくに細かい部品周辺では、歯科用の精密工具を活用すると効果的です。溶剤を使用する場合は、必ず換気の良い場所で作業を行い、適切な保護具を着用します。メチレンクロライドやN-メチルピロリドンなどの専用溶剤は効果的ですが、取り扱いには十分な注意が必要です。

どの方法を選択した場合でも、急がずていねいに作業することが成功の鍵となります。作業前には必ず基板の写真を撮影し、部品配置や配線状態を記録しておくことも重要です。

また、除去後は必ずイソプロピルアルコールなどで基板を清掃し、残留物がないことを確認します。最後に、ルーペや顕微鏡を使用して基板の状態を詳細に検査し、パターンの損傷や部品の異常がないかチェックすることも忘れてはいけません。

まとめ

コンフォーマルコーティングの除去は、正しい知識と技術があれば安全に行える作業です。ポッティング材の種類を見極め、適切な除去方法を選択することが成功への第一歩となります。加熱法、機械的除去法、溶剤法それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。また、作業中は基板や部品への損傷を防ぐため、温度管理や力加減に十分注意を払う必要があります。確実な作業と丁寧な後処理により、基板の機能を損なうことなくコーティングを除去できます。

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