電子機器の品質を高めるために、防湿・防水加工は必須です。そこで、基板コーティング剤が頼りになります。コーティング保護によって製品寿命が延び、安全性を高めることが可能です。また、成分別の種類があり、選べることもメリットでしょう。本記事では、基板コーティング剤の種類を解説しています。品質向上を目指す製造業者は必見です。
基板の防水・防湿コーティングの必要性
基板は電子機器の心臓部分であり、電気伝達に欠かせません。基板が機能しないことで、電子機器の稼働は不可能です。そこで、基板を守るコーティング剤が頼りになります。ここでは、基板コーティング剤の重要性を理解しましょう。チリ・ホコリを防ぐ
製造現場では、多くのチリ・ホコリが舞っています。なかには屋外現場もあるため、衛生環境が整備されていないこともあるでしょう。しかし、電子機器の基板は異物接触に弱く、非常に繊細です。微粒子でもショートを起こす危険性があります。そこで、基板コーティング剤を使用することで、チリ・ホコリの付着を防げます。表面に膜をはる構造で、異物を弾きます。小さなすき間も保護するので安心です。
化学物質の影響から守る
産業環境や医療現場では、化学物質の影響で基盤が傷みやすくなります。腐食や劣化が起きるため、性能低下や故障が避けられないのです。その対策として、コーティング剤で基板を守れます。化学物質に反応しないため、基板性能が安定します。絶縁効果
基板上の回路は、狭いなかで隣接して走っており非常に複雑です。そのため、本来流れてはいけない場所に、電気が流れる可能性があります。ショートや漏電を防ぐために、回路間の絶縁が必須です。そこで、基板コーティング剤を使用することで、絶縁効果を発揮します。とくに、高電圧の機器を守る重要な存在です。
耐久性アップ
防湿・防水効果によって、基板の物理的破損を防ぎます。機器寿命が延びるため、高い品質維持が可能です。ニーズに応えられる製品が生まれるでしょう。基板の防水・防湿コーティングの種類
基板コーティング剤には多くの種類があり、成分・質感・メリットが異なります。製品と相性のよいものを選ぶことで、品質や生産性が上がるでしょう。ここでは、基板コーティング剤の種類と特徴を解説しています。ウレタン系コーティング剤
耐摩耗性や耐薬性に優れた基板コーティング剤です。柔軟性があるため、基板以外の箇所にも使えます。機器の表面に利用することで、保護する力が増すでしょう。しかし、防水性がやや弱いため、ほかの種類との併用が安心です。そして、有機溶剤を含むため、法令を守り、安全に取り扱いましょう。
シリコン系コーティング剤
ゴム状の皮膜を作り、基板を保護するコーティング剤です。低温環境に強く、基板の割れを防ぎます。しかし、湿度をとおしやすく、防湿するには厚いコーティングが必要です。重量に影響するため、大型機器の基板に向いているでしょう。
オレフィン系コーティング剤
シリコン系と同じく、ゴム皮膜のコーティング剤です。こちらも低温環境に強く、さらに防湿効果もあります。薄い皮膜で重量が発生しないため、製品を選ばず柔軟に使えるでしょう。しかし、火災に弱い性質のため、火を扱う現場では注意が必要です。
フッ素系コーティング剤
コーティング剤のなかでも、とくに防湿・防水効果があります。ゴム皮膜に比べ、数倍以上の効果があり頼もしい存在です。また、低粘度のため、薄い皮膜を簡単に塗布できます。誰が加工しても、重量への影響がほぼありません。さらに、引火性がなく、安全に使えることもメリットです。ストレスなく作業が進むので、生産性が上がるでしょう。
最適な基板の防水・防湿コーティング方法を選ぼう
基板をコーティングするには、さまざまな方法があります。スピーディーに量産できる方法やコストの最適化を目指すとよいでしょう。ここでは、コーティング方法を解説します。スプレーガン
少量多品種の製造に最適な方法は、スプレー塗布です。手動でスプレーガンを操るため、丁寧な作業ができます。また、スプレーガンには小型・大型とサイズがあるので、製品を選びません。大型の製品も素早く塗布できます。さらに、効果を高めたい場合は、複数回吹き付けるとよいでしょう。厚みが出にくいため、製品の重量や形状に影響しないことがメリットです。
刷毛による手塗り
筆や刷毛を使用し、手作業で塗布する方法です。設備が不要なため、低コストで導入できます。手間がかかりますが、少量生産を丁寧に行えることがメリットです。細かい部分に配慮し、コーティング剤の無駄使いも減らせます。技術が必要とされるので、教育できる環境であれば導入価値があります。
ディッピング
ディッピングとは、容器にコーティング剤を入れ、基板を浸す方法です。複雑な形状でも一気に塗布できるので、効率化が実現します。さらに、浸す速度を変えることで、皮膜の厚みもコントロール可能です。簡単に誰でも作業できるので、大量生産に向いています。しかし、塗布が不要な部分には、丁寧なマスキング作業が必要です。
ディスペンサー・スプレー塗布機
ディスペンサーは、フッ素コーティングに使われる方法です。ロボットに情報入力を行い、ディスペンサーを動かします。自動で吹き付け、ムラなく均一に仕上がることが特徴です。情報入力によりマスキング不要な点が、大きなメリットになります。また、細かい部分や広範囲も対応するので、大量生産に最適です。人員・コスト・時間をバランスよく使うため、生産性向上を叶えます。
